「SNS集客はもう古い」といった考えもありますが、今でもじゅうぶんな効果が見込める集客施策の1つです。その理由として以下の点が挙げられます。
それぞれについて解説します。
消費者庁の若者の消費行動に関するレポートでは、10歳代後半、20歳代を中心にSNSの情報がきっかけで商品やサービスを購入した経験がある人が多い(※)というデータがあります。
SNSはコミュニケーションツールとしての役割だけではなく、情報収集のために活用されているため、若年層を中心に消費や行動に影響を与えています。
※”消費者庁公式HP”参照
SNSが誕生する以前のTVやWEBが主流の時代の消費者モデルでは「AIDMA」でしたが、SNSが主流になった現代では「VISAS」に変化しています。それぞれの消費者モデルにおける行動の流れは以下の通りです。
TVやWEBが主流の時代の消費者モデルでは、TVCMのように企業が発信した情報がきっかけで消費に至っていましたが、SNS主流の消費モデルでは「個人ユーザーの情報発信(UGC)」がきっかけとなり消費が行われているという変化がおきています。
SNS集客を行わないと、SNSが主流になった現代の消費者層が購入のきっかけとしている場所に、自社の情報が掲載されないため、SNS集客を利用している競合に差をつけられる恐れがあります。
SNS集客が一般的に行われるようになり、表面化してきた以下の注意点について解説していきます。
消費者庁のリサーチではデジタル広告の増加の中でもSNSの広告費の増加が顕著であることが報告されています。(※)
SNSでは多くの投稿がある中で自社の発信を埋もれさせないために、システム上で常に変わり続けるアルゴリズムに対応して手法を変えていく必要があります。変化のない投稿では顧客にリーチしなくなるため運用コストが増加するため、有料の広告を出す企業が増えています。
※”消費者庁公式HP”参照
集客の場としての重要性が高まっているため、広告効果を狙った投稿や広告が増加しており消費者の目に留まりにくい状況が見られます。企業として効果的に集客を行うために、バズった投稿の模倣といった同じような投稿をしてしまいがちな点も影響しています。
消費者との良好な関係を築くためのツールとしてSNSが重要であるにもかかわらず、SNS集客による短期的な売り上げアップや効果を求めすぎているため投稿や運用が画一的になっている点が挙げられます。SNSはあくまで集客ツールの一種であり、総合的に施策を行い集客を実施していくことが重要です。
SNS集客を実施する際は、目的を明確にしましょう。目的を決めずに何となくSNS集客をしても、途中で方向性を見失いやすくなります。
方向性を見失わないためには、集客の具体的な目的を決めることが重要です。例えば「Xでのキャンペーンでユーザー数を増やしたい」というように具体的な目的とプランを練ってみてください。
SNS集客は、ターゲット層を絞ることが重要です。ターゲット層を決めずに商品の宣伝やキャンペーンなどを実施してしまうと、ユーザーからは誰に向けてアピールしているのか分かりにくくなります。
性別や居住地、年齢、仕事、趣味などの特徴を具体的にした人物像であるペルソナを設定すると、より詳細なイメージ像が浮かびやすくなります。
企業としても、ひとつのアカウントとしてもほかのユーザーに役立つ情報を発信することが重要です。商品やサービスに関する、その時の季節や話題に合わせた商品の提案や、単純に興味が持てる情報の提供を行いましょう。
投稿の表示回数であるインプレッション数や、投稿見たユーザーのアクションを示すエンゲージメント率を管理画面で確認し、どのような投稿が伸びているのか傾向をつかみましょう。判明したデータを元に投稿を改善していくことが重要です。
実際の事業のように顧客の囲い込みを行うことが重要です。オープンな場を活用してカスタマーサービスを実施して真摯にクレームに対応したり、個人の発信に対していいねや返信をしたりするなどして距離を近づけましょう。
企業アカウントとの接触に明確なメリットをもたせるために、魅力的な景品がもらえるキャンペーンを実施しましょう。自社商品に知名度や人気があれば景品としてプレゼントし同時にPRを行っていくのも効果的です。
SNS集客で成功させるためには、施策の分析と改善を行うことが重要です。例えばSNS広告を実施した場合、広告が表示された回数や閲覧数、クリック率など細かく分析することで改善するべきポイントが見つかりやすくなります。
施策によっては効果測定によってデータの分析も可能なので、ぜひツールを活用しSNS集客で抱える課題点を見つけ出しましょう。
『スシロー』は全国各地でチェーン展開している人気の回転寿司です。そんな『スシロー』ではXを活用し、フォロー&リツイートキャンペーンというようにキャンペーンを実施。抽選で食事券をプレゼントしています。
スシローのSNS集客成功のポイントは、定期的にキャンペーンを企画しているところです。また抽選に食事券を活用していることから、お店への来店を促しているところもポイントでした。
大手のハンバーガーチェーンである『マクドナルド』では、Xにて定期的にハッシュタグキャンペーンを実施。2023年10月には、サムライマックに関するハッシュタグキャンペーンが企画されました。
「#サムライとマック切り拓け」というハッシュタグを活用し、商品の認知拡大を図っているのもポイントです。さらにリプライのみで抽選が受けられるという点から、誰でも気軽に参加しやすいのが魅力でした。
国内で展開しているデリバリーピザチェーン『ドミノ・ピザ』では、Instagramを活用した定期的なキャンペーンを実施しています。
とくに印象的だったのが、2022年に企画された「夏の産直ドミノ親子で自由研究」というキャンペーン企画。フォロー&コメントキャンペーンの抽選で当選した方を対象に、対象店舗にてピザ作り体験と試食会に招待しました。
店頭にてピザ作りができる体験は、ほかのピザ店ではなかなかできません。より多くの人にブランドを知ってもらうためには、このような体験会を設けてみるのもよいでしょう。
『タイミー』は、短時間ですぐに稼げる隙間バイトアプリです。自分の好きなタイミングで働けることから、約600万人が利用しています(※)。
そんなタイミーでは、さらなるブランドの認知拡大のために、2023年6月にXにて「#もっと知ってタイミー」キャンペーンを企画。誰でも気軽に参加できるようフォロー&リポストで企画が組まれました。
約12万人のユーザーがリポストしていることから、かなり反響のあったキャンペーンといえるでしょう。
※“タイミー 公式HP”参照
『株式会社ツヴァイ』は、全国に約51店舗を展開する婚活サービスです。マッチングの豊富さを売りとしており、約9万人の会員が利用しています(※)。
株式会社ツヴァイでは、Instagramを活用した広告発信を実施。過去にはターゲット層である若年女性に焦点を当てて、Instagram広告を積極的に活用しました。
出会いから成婚にかけて具体的な広告内容となっているので、婚活を本気で考えている人には心に刺さるでしょう。
※“ツヴァイ 公式HP”参照
『SUUMO(スーモ)』は、リクルートが運営する不動産情報サイトです。CMやSNS、チラシなどの情報発信で、知っている方もいることでしょう。
SUUMOでは、LINE公式アカウントの運用を実施。情報発信はもちろんのこと、定期的にキャンペーンも行っています。さらに賃貸講座やマンション講座などさまざまなプログラムを展開しているのもポイント。参加費無料となっているので、初めて利用する方でも気軽に参加しやすいのが魅力です。
LINEは日常的に使用するツールでもあるので、LINE公式アカウントがあるかないかでは顧客獲得に差が生まれるかもしれません。
コーヒーチェーン店『スターバックス』では、2018年にInstagramとXの2つのツールを活用し、「#スターバックスチョコホリック」を付けた投稿キャンペーンが企画されました。
スターバックスのチョコレート系のドリンクやフードなどの写真と一緒にハッシュタグをつけて投稿するというような条件付きでしたが、多くのユーザーがキャンペーンに応募。214人が当選対象に選ばれました。
スターバックスのキャンペーンの成功ポイントは、InstagramとXの2つのSNSツールを活用していたところです。どちらとも多くのユーザーが利用する代表的なSNSなので、参加者を集めるためには複数のツールを活用してみるとよいかもしれません。
豊富なファッションアイテムを取り扱う『GU』では、Xを活用したセール情報を発信。注目のファッションアイテムはもちろんのこと、これから販売予定の商品についても積極的に投稿しています。
『GU』のアカウント運用のポイントは、画像を積極的に活用し商品情報を伝えているところです。画像を活用することで、どのような商品が販売されているのかユーザーに分かりやすく伝えています。またスタッフの着こなしコーデも紹介されているので、どのように服を組み合わせるのかユーザーはイメージしやすいでしょう。
総合旅行サイトである『楽天トラベル』では、2022年にInstagramを活用したハッシュタグ投稿キャンペーンを実施。宿泊したホテルで素敵な写真を1枚撮り投稿するという絶景宿フォトコンテストが企画されました。
楽天トラベルのInstagramキャンペーンのポイントは、実際に宿泊者が泊まったホテルの写真を投稿し、さらなる情報拡散を図っているところです。ユーザーがホテルの写真を投稿することで、不特定多数の人に向けてホテルの魅力を伝えられます。
ユーザーによっては写真の撮り方が異なるので、ホテルの意外な一面も発信してくれるかもしれません。
東京、埼玉、神奈川でハイヤーやタクシー事業を展開している企業です。そんな『三和交通株式会社』では、TikTokを積極的に活用。タクシー業界ではなかなか見られないユニークなダンスを投稿しており、多くのユーザーに注目されています。
思わず笑ってしまうようなダンス投稿ばかりなので、どのようなタクシーサービスを展開しているのか気になる方がいるかもしれません。
80万以上のフォロワーを獲得している家電メーカーのシャープのXアカウントは、企業アカウントであることを感じさせないユニークな投稿や役立つ情報が特徴です。「中の人」による流行りのネタを活用した投稿が若年層を中心に好評を得ています。
家具のオンラインストアであるLOWYAのInstagramアカウントは毎日投稿を実施し、インテリアのテイストごとに投稿をまとめて視認性を高めているのが特徴です。週に1度インスタライブを行い視聴者に対して割引クーポンを配布して80万以上のフォロワーを獲得し、効率よく集客しています。
本記事で述べたように、UGC(個人ユーザーの情報発信)が重要とされているのは情報の信用度が高いためです。企業アカウントとしてSNS上で信用を得て、企業が発信した情報から消費者が行動に移す流れを生み出す必要があります。そのためには消費者と交流を深めて有益な情報を発信し続け、消費者のタイムラインに投稿が流れてもフォロー解除されないような関係をつくることが重要です。そのために本記事で記載したことを実践し、長期的に施策を実施していきましょう。