まず、オフラインで展開している店舗運営の課題について、お話ししたいと思います。
店舗運営の課題についてのアンケートによると「今後の店舗運営で課題だと思うところは何ですか?」という質問に対して、最も多かった回答は「集客・認知」に関するものでした。
次いで「売上・販路」という回答でしたが、回答の結果としては2倍近く差がある形で、大半の企業が「集客・認知」に対して大きな課題だと感じている状況です。
また、「集客・認知」の中でも最も優先して取り組むべきことについての質問に対しては、「オンラインと対面の両軸で顧客接点を作る必要がある」と考えている企業が最多となりました。
デジタル化やスマホの普及によりオンライン上で商品やサービスを購入できる機会が増えているため、店舗に集客するだけでなく、その店舗に集客したお客さんをさらにオンラインにどう繋げられるかが求められています。
※参照:”STORES、中小事業者へ「今後の店舗運営」に関するアンケート調査を実施”
次にもう少し掘り下げて、オンラインとオフラインへの送客の定義についてお話し出来ればと思います。
オンラインとオフラインの融合について、現在はOMO(Online Merges with Offline)という単語が主に使われています。OMOの”Merge”という単語は”合体”や”融合”を意味し、単にオンラインからオフラインに送客するだけでなく、オフラインからオンラインへの送客も行うことがOMOとなります。既に実施している企業・ブランドでは、オンラインとオフラインの境界は溶け合っており、全体としてひとつの顧客体験を構築しています。
スターバックスやマクドナルドのモバイルオーダーは、その最たる例といえるでしょう。店舗にQRコードを設置してアプリのダウンロードを促し、そのアプリで販売ができる。このように、オンラインとオフラインの双方向で導線が引かれている送客施策は、今後ますます重要になっていきます。
オンラインからオフラインへの送客を行う上で様々な手段が考えられますが、ここではSNS関連の文脈を掘り下げてお話しできればと思います。
2023年9月のデータによると、対社外向けに企業がSNSを利用している割合は約4割程度となっております。また、その約4割の企業のうち、約75%はB2C向けのサービスを展開している企業となっております。
活用しているSNSとしては、上からInstagram、Facebook、LINEとなっておりますが、FacebookはB2Bサービスでの利用が多いため、B2Cサービスでは基本Instagram・LINEの利用率が高いといえます。また、Xの利用率はInstagramと比べて10%以上、LINEと比べて6%以上低い結果になっており、これについては意外だと思う方も多いかもしれません。
※参照:”特別企画|企業における SNS のビジネス活用動向アンケート”
その中でも今回は、B2Cサービスで利用率の高いInstagramとLINEに絞って特徴や事例を解説します。
そもそもになりますが、LINEは日本国内で最も利用されているSNSのため、ターゲット層に限定されず多くの商品・サービスにおいて活用が可能です。またメルマガやアプリのプッシュ通知よりも開封率が高く、お客様に情報が届けやすいというメリットがあります。
LINEを活用することで、顧客情報を基に個別で最適化されたメッセージを送ることができます。
来店した方限定でのメッセージ配信やLINE上で完結する予約システムの構築などオフラインとの接点を保つSNSとしては最も優れているといえます。
LINEを使用すると店舗限定のクーポンを配布することができます。これにより、LINEからオフライン店舗への送客が期待できます。
また、LINE上で予約の受付もできるため予約を必要とするサービスに非常に有効であり、他のSNSでは対応していないことが多いためこれも1つのメリットといえます。
※参照1:”LINEのユーザーはどんな人? - LINEキャンパス”
※参照2:”LINE公式アカウントのメッセージ配信はなぜ効果が高い? - LINEキャンパス”
Instagramは視覚的情報が伝えやすいという特徴があります。そのため視覚的情報を効果的に活用できるサービスや商品の認知拡大・ブランディングには非常に適しています。
逆に、視覚的情報を必要としないサービスには不向きだったり、効果が出るまでの期間が比較的長いため運用前に「Instagramは自社にあった媒体なのか」という部分をじっくり検討する必要があるでしょう。
Instagramのプロフィールページには誘導リンクや店舗情報を設置することが可能です。これにより、ユーザーが必要な情報に対してライトにアクセスできるという特徴があります。
具体的には、プロフィールページのハイライト部分にいくつかの誘導リンクを設置したり、店舗の決済方法や営業時間の告知などをストーリーズやフィードに固定化してInstagramユーザーから店舗へ導線を確保することが可能です。
LINEのポイントカード機能を活用した飲食店の事例をご紹介します。
この飲食店では、長年紙のポイントカードを使用していましたが、LINEの導入に伴いLINEポイントカードに切り替えました。
その結果、LINE導入から1年で旧ポイントカードの会員数を超えたり、店舗スタッフの手動オペレーションの工数削減に繋がりミスを最小化することができました。
これ以外に最も大きな成果として、メルマガ不達のお客様に対してもメッセージ配信が可能になったという点が挙げられます。先ほどのLINEとメルマガの開封率の差にもあった通り、LINEでのメッセージ配信によって店舗への送客数が増加しました。
※参照:”全長36cmの「ジャンボ海老フライ」が話題!和食店・なすび総本店のショップカード活用”
続いて、百貨店でLINE CRMツールとBoosterを活用したリアル抽選会の事例をご紹介します。
この百貨店では、来店したお客様に対してLINEの友だち追加を促すオフラインキャンペーンを実施しました。このキャンペーンでは、LINEを追加すると百貨店の商品券が当たるなどの特典がありました。
※参照:”「インスタントウィン」を活用したリアルな抽選会で、LINE公式アカウントの友だち登録を増やす”
結果としては物産展などと同時開催することで、LINEの友だち登録者数が約3,800名増加しました。
また導入前に17%~17.5%だったブロック率は、16%まで改善することに成功しました。キャンペーンによる新規友だち追加施策を実施しつつ、獲得後のCRMツールを用いた配信の最適化が成功の要因になりました。
※参照:”商品予約で最高額の売上を達成!Linyで叶える、お客様に寄り添った情報配信”
最後にInstagramの事例をご紹介します。
Instagramを活用した飲食店の事例として、フォローとコメントを条件としたキャンペーンを実施しました。ギフトは、店舗で使えるクーポン券を用意し、季節のフェアに合わせて施策を実行しました。
アプリや個人情報の登録等を必要とせずに、オンラインから店舗への導線をシームレスに繋げ、集客ができる即効性のある施策となりました。
結果としては、その場で当たる即時抽選キャンペーンの実施によりInstagram上で2,300名の新規フォロワーを獲得することができました。
また、当選者が実際に店舗に行ってギフトを引き換えた率は約24.7%と、500名近いフォロワーが店舗へ足を運びました。
キャンペーンによる新規フォロワー獲得とSNS上での認知拡大を図りつつ、店舗へ送客するきっかけをキャンペーンによって作り出した事例です。
開催日時:2024年06月12日(水)12:00-13:00
タイトル:明日から実践できる!オンライン×オフラインでの店舗集客の最適解
主催者:ダウジャパン株式会社
登壇者:マーケティング責任者 中嶋 春葵
参加方法:オンライン(Zoom)