まず初めに、O2OとOMOの違いについて簡単に触れたいと思います。
これまでのオンラインとオフラインでのマーケティング手法としては、O2O(オンラインからオフラインへの送客)が最も主流な施策でした。主な手段としてはクーポンの発行などがあり、そのクーポンによって実店舗で購入させるという導線設計などです。
一方で、昨今のデジタル技術の進展によりOMO(オンラインとオフラインの融合)という概念が誕生し、今日では顧客主体の送客が可能になっています。
具体的な例としては、スターバックスやマクドナルドのモバイルオーダーが挙げられます。また、アプリ会員限定の店頭販促やデジタルサイネージを活用した自社アプリへの誘導などもOMOの一環です。
O2OからOMOの変化は、企業目線から顧客主体へとシフトしている点が大きな特徴です。
次にEC利用者のオフライン需要の高さについて、アンケートをもとにお話ししたいと思います。
2023年5月のデータによると、「EC販売のみのブランドで実際に商品を見てみたい」と思う一般消費者が、約9割となっており「ポップアップストアで商品を購入したことがある」と回答した一般消費者は、約7割という結果が出ています。
実際にポップアップストアで購入した商品の種類については、1位から「ファッション・アパレル」、「フード・ドリンク」、「ボビー/ライフスタイル」、「スキンケア・メイク・ヘアケア」、「ヘルス/ウェルネス」となっております。
この結果を考察すると、ECの販売において「試着する・試飲・試食する」といったように、実際に試してから購入を決めるケースのECはPOPUPストアとの相性が良いということがいえるでしょう。
※参照:”【SUPER STUDIO 調査レポート】EC事業者のOMOの実態と消費者の購買動向に関する調査を発表”
一方で、ポップアップストアをやろうと思っても「実際に集客できるのか?」だったり、「どうやって出店したらいいのか?」などそこで迷ったり悩まれている方も多いかと思います。
本セッションでは、その中でも集客方法の手法についていくつかご紹介・解説します。
主な集客施策としては、SNS上での告知、ECサイト上での告知、Web広告、LINE・メルマガ配信、チラシ・DMの配布などが挙げられます。
上記の施策を実施する上でポップアップストアの集客方法の考え方は、大枠2つあります。それは既存顧客に向けての集客施策なのか、買おうか迷っていたお客様や今まで認知されていないペルソナなどの新規顧客へ向けた集客方法なのかの2つです。
既存顧客向けの場合、LINEやメルマガの配信・購入時の商品の中にチラシ等を入れるなどが有効です。これにより、既に商品を購入している顧客に対してポップアップストアの情報を直接届けることができます。
一方、新規顧客を狙いたい場合は、SNSやECサイト・Web上での告知が重要です。これらの施策により、「ブランドに興味はあるが、まだ商品を購入していない潜在顧客」に対してポップアップストアの存在を広く知らせることができます。
本セッションでは、その中でもLINEを含めたSNS告知の部分についてもう少し深堀りできればなと思います。
2023年9月のデータによると、対社外向けに企業がSNSを利用している割合は約4割程度となっております。また、その約4割の企業のうち、約75%はB2C向けのサービスを展開している企業となっております。
活用しているSNSとしては、上からInstagram、Facebook、LINEとなっておりますが、FacebookはB2Bサービスでの利用が多いため、B2Cサービスでは基本Instagram・LINEの利用率が高いといえます。また、Xの利用率はInstagramと比べて10%以上、LINEと比べて6%以上低い結果になっており、これについては意外だと思う方も多いかもしれません。
※参照:”特別企画|企業における SNS のビジネス活用動向アンケート”
その中でも今回は、B2Cサービスで利用率の高いLINEとInstagramに絞って特徴や事例を解説します。
そもそもになりますが、LINEは日本国内で最も利用されているSNSのため、ターゲット層に限定されず多くの商品・サービスにおいて活用が可能です。またメルマガやアプリのプッシュ通知よりも開封率が高く、お客様に情報が届けやすいというメリットがあります。
LINEを活用することで、顧客情報を基に個別で最適化されたメッセージを送ることができます。
来店した方限定でのメッセージ配信やLINE上で完結する予約システムの構築などオフラインとの接点を保つSNSとしては最も優れているといえます。
LINEを使用すると店舗限定のクーポンを配布することができます。これにより、LINEからオフライン店舗への送客が期待できます。
また、LINE上で予約の受付もできるため予約を必要とするサービスに非常に有効であり、他のSNSでは対応していないことが多いためこれも1つのメリットといえます。
まず、LINEの開封率はメルマガの1.8倍と高く、LINEのCRMツールを活用することで、最適化されたメッセージ配信が可能です。また、LINEのクーポン配布機能を利用することで、実店舗限定のクーポンを配布することができます。
※参照1:”LINEのユーザーはどんな人? - LINEキャンパス”
※参照2:”LINE公式アカウントのメッセージ配信はなぜ効果が高い? - LINEキャンパス”
Instagramは視覚的情報が伝えやすいという特徴があります。そのため視覚的情報を効果的に活用できるサービスや商品の認知拡大・ブランディングには非常に適しています。
逆に、視覚的情報を必要としないサービスには不向きだったり、効果が出るまでの期間が比較的長いため運用前に「Instagramは自社にあった媒体なのか」という部分をじっくり検討する必要があるでしょう。
Instagramのプロフィールページには誘導リンクや店舗情報を設置することが可能です。これにより、ユーザーが必要な情報に対してライトにアクセスできるという特徴があります。
具体的には、プロフィールページのハイライト部分にいくつかの誘導リンクを設置したり、店舗の決済方法や営業時間の告知などをストーリーズやフィードに固定化してInstagramユーザーから店舗へ導線を確保することが可能です。新商品発売やイベントの告知にもInstagramは有効です。
これらのSNSを活用することで、オンラインからオフラインへの送客や、既存顧客へのアプローチ、新規顧客の獲得が期待できます。
LINEとInstagramの掛け合わせ事例について説明します。
神戸洋靴店は、固定店舗からポップアップストアへ移行し、集客と接客に課題があったため、Instagramを活用して課題を解決しました。
ストーリーズなどで顧客からの質問や試着・試しばきのポイントを回答することで、双方向のコミュニケーションを行い、ファンの獲得につなげました。
またコロナ禍の影響でポップアップストアを予約制にしたところ、集客規模 + 売上の予測が容易になり、予約時にアンケートを取得することで来店時の接客の質が向上しました。
来店後は、LINEでアフターフォローを行いECサイトでの購入を促す設計にすることで、顧客の定着化にも成功しました。このように、LINEとInstagramを活用することでO2Oが可能となり、ポップアップストアの出店効果を最大化することができたといえる事例です。
※参照:”Instagram×ポップアップストアのシナジーで最高売上に!「神戸洋靴店」の販売戦略とは”
大分県の百貨店では、店舗への集客チャネルとオンライン予約販売の売上向上を目的とした重要な施策の1つとして公式LINEを活用しています。
リアルとオンラインをLINEを活用することによってシームレスに繋げ、キャンペーンを実施しながらLINE公式アカウント運用の最適化を図っています。
リアル抽選会では、QRコードとキャンペーンページを活用して実施されました。参加者はQRコードをスキャンしてキャンペーンページにアクセスし、抽選に参加することができます。
当選者にはインセンティブが付与され、これがCRM施策としても活用されました。キャンペーンは短期間で友だちを効率的に獲得できるというメリットがあり、且つ実際に来店している興味関心の高い顧客をダイレクトにアプローチできることから有効な施策となりました。
※参照:”「インスタントウィン」を活用したリアルな抽選会で、LINE公式アカウントの友だち登録を増やす”
キャンペーンの結果としては物産展などと同時開催することで、LINEの友だち登録者数が約3,800名増加しました。
また導入前に17%~17.5%だったブロック率は、16%まで改善することに成功しました。キャンペーンによる新規友だち追加施策を実施しつつ、獲得後のCRMツールを用いた配信の最適化が成功の要因になりました。
※参照:”商品予約で最高額の売上を達成!Linyで叶える、お客様に寄り添った情報配信”
ここからはウェビナー中に出た質疑応答をご紹介します。
質問
「オンラインからオフラインへ集客するときのポイントがあれば、教えて下さい!」
回答
「ありがとうございます!まず大前提にあるのは、出店費用と売上のバランスについてです。出店費用に予算を投下しすぎると2回目、3回目に繋がらなくなるため成果を出すことが一番重要です。
ただそのうえで短期的な費用対効果だけでなく、長期的なブランディングや顧客との関係構築を図ることもオフライン施策として重要だと思っております。
オフライン施策の一番のメリットは、熱量のあるお客様やファンと直接的なコミュニケーションができることです。例として、商品開発の担当者やEC運営の担当者が店頭に立つことで、ブランドのファンと対面で会話ができます。
これにより、商品開発やサービス運営への直接的なフィードバックが得られたり、関わる従業員のモチベーション向上にもつながります。オフライン施策を検討する際は、データや数値だけでなく、パッションを持って顧客と接することも意識していただければと思います!」
開催日時:2024年06月27日(木)11:00-13:00
タイトル:EC成功の鍵を握る!マルチチャネル戦略最適化へのロードマップ
主催者:ダウジャパン株式会社
登壇者:Booster事業 営業責任者 廣野 智也
参加方法:オンライン(Zoom)